蕎麦湯は体に良い?栄養はない?飲むのは何のため?十割そば屋が解説
蕎麦湯は体に良いのか?栄養なないのか?何のために飲むのか?といったご質問をよくいただきますので、十割蕎麦屋の視点で蕎麦湯の栄養について解説します。
まず初めに結論からお伝えします。
蕎麦湯は栄養満点、です。
その理由は、以下2つの専門書に記載されている内容をご確認ください。
専門書1.蕎麦の事典(新島繁著、講談社学術文庫)
蕎麦のタンパク質は水に溶けやすく、ゆでた蕎麦湯の中には溶けだした栄養素が豊富に含まれている。
専門書2.一生役立つきちんとわかる栄養学(お茶の水女子大学大学院教授:飯田薫子氏監修、関東学院大学准教授:寺本あい氏監修)
ヘルシーで栄養抜群!日本が誇る健康食材!蕎麦は健康を維持するための有効成分の塊とも言える食材。
ということで、他にも様々な専門書で、健康や美容の専門家が「蕎麦湯には豊富な栄養素が含まれており、蕎麦湯は体に良いため、栄養素を取り入れるために飲まれている」と言われているからです。
蕎麦湯の栄養は大きく5つ
蕎麦湯は、ビタミンAとビタミンCを除けば、主な栄養素がたっぷり含まれている、と言われています。
※栄養と栄養素は別物です。その違いとは?
栄養は、人が生きるために必要な物質を外から取り入れて、体の組織や機能を維持するために活用すること、その営み全体を指します。
栄養素は、栄養のために外から摂取する物質のことです。
蕎麦湯は具体的に、ルチン・タンパク質・ビタミン類・ミネラル・食物繊維の5つの栄養が含まれていると、「そば粉100%のおいしいパンとレシピ(発行:二見書房、著者の小池ともこ氏)」にも記載されています。
蕎麦の栄養の中で代表的な栄養は「ルチン」です。
では、ルチンとは一体どんな栄養素なのか?
蕎麦湯の栄養1.ルチン
ルチンはポリフェノールの一種で、別名ビタミンPと呼ばれています。
Pというのは、英語のパーミアビリティー(透過性)からきています。
ルチンの栄養
ルチンの栄養をお伝えする前に、そもそも毛細血管は体の細胞に栄養や酸素を供給するために適度な透過性を保っていますが、透過性が過剰になると毛細血管のもろさに繋がり、欠陥が切れて出血したりします。
ルチンにはこの透過性を保ち、血管がもろくなるのを防ぐ作用がある、とダッタン蕎麦百科(発行:柴田書店、著者:片山虎之介氏)に記されています。
ポリフェノールは健康を維持するうえで重要な役割があると言われていますが、ルチンは活性酸素を取り除く抗酸化作用があり、血圧を下げて高血圧や脳梗塞、出血性の病気の予防、糖尿病や心臓病、動脈硬化症の予防にも効果がある、と言われています。
ルチンの詳細は、ルチン成分情報に関しては厚生労働科学研究データベースの資料をご確認ください。
蕎麦湯の栄養2.タンパク質
蕎麦湯に含まれるたんぱく質の栄養をお伝えする前に、そもそも、タンパク質とは体の20%を構成し、筋肉・内臓・血液・皮膚など体の材料になり、エネルギー源にもなる栄養素で、私たちにとって重要な栄養素です。
国際蕎麦学会・学会誌編集長の池田氏はマキノ出版ムック発行:「キレイにやせる!そばの実ダイエット」の中で、そばに含まれるたんぱく質について、以下のようにわかりやすく解説しています。
そばには良質なたんぱく質といわれる必須アミノ酸が含まれています。
この必須アミノ酸がどれだけ含まれているのか?を測る指標がアミノ酸スコアと呼ばれ、アミノ酸スコアの最大値は100です。そして、植物性食品の中でアミノ酸スコアが100の食品が蕎麦です。
動物性たんぱく質の多くは、コレステロールや脂質を含んでおり食べ過ぎると生活習慣病につながる可能性がありますが、植物性食品の蕎麦は脂肪の取りすぎを心配することなく、肉や卵と同等のアミノ酸スコア100な良質のたんぱく質を摂取できる、と蕎麦に含まれるタンパク質について解説されていました。
また信州大学名誉教授の俣野敏子氏は「そば学大全 講談社学術文庫」の中で蕎麦の栄養として、タンパク質・アミノ酸に関して以下のように述べていました。
蕎麦粉にはリジン(小麦や精白米などの穀物に不足しがちな必須アミノ酸)含有量がきわめて高い、と記載されておりました。
具体的には、タンパク価(リジン価)という指標で表しますが、卵を100とすると、蕎麦粉は74、小麦が55、だそうです。なお、リジンには高血圧や脳卒中発症の予防効果があるとの研究もおこなわれていた、と記載されていました。
以上が、蕎麦湯に含まれるたんぱく質の栄養についてでした。
蕎麦湯の栄養3.ビタミン類
ビタミンは5大栄養素で、13種類あります。
ビタミンは免疫力を高めたり、皮膚や血管、骨を丈夫にする働きなど、老化を防いだり、体の機能を正常に保つ働きがあります。が、ビタミンD以外は体内で作ることができませんので、食べ物で補給しなくてはなりません。
蕎麦には糖質の分解を助け、乳酸が溜まる疲労回復を助けるビタミンB1、健康な皮膚や髪や爪を作り、資質や糖質の代謝にも作用するビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンE、ナイアシン、葉酸、パントテン酸などを含んでおり、ビタミンAとビタミンC以外のビタミン類を含んでいる、と言われています。
蕎麦湯に含まれるルチンはビタミンCと一緒に摂取すると効果を発揮すると言われているため、ビタミンCを多く含むレモンやカボス、ゆず皮などを入れて、ルチンとビタミンの栄養を摂取される方も多いです。
蕎麦湯にビタミンB1は精白米に比べて約2倍含まれています。
蕎麦湯の効果的な飲み方は、蕎麦湯の効果効能と効果的な飲み方ページをご確認ください。
蕎麦湯の栄養4.ミネラル・カリウムなど
ミネラルも5大栄養素で、16種類あります。
骨や歯の成分になり、エネルギーをつくり出す助けや血圧を調整したり筋肉の動きをコントロールするなど体の調子を整えるのが、ミネラルです。
蕎麦湯には不足すると夏バテや力が入らなくなったり、筋肉でエネルギーを作る時に働くカリウムも含まれています。カリウムは余分な水分を排出し「むくみがスッキリ」する人もいるそうです。
欠乏すると骨粗しょう症症や筋肉のけいれんをおこすカルシウム、欠乏すると虚血性心疾患のリスクが高まるマグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ナトリウムなど骨の強化も期待できる成分も蕎麦湯には含まれています。
蕎麦湯に鉄分は他の穀物類と比べてもはるかに多く、大豆の2倍に相当すると、信州大学名誉教授の俣野敏子氏が「そば学大全:講談社学術文庫」の中で述べられていました。
以上が、蕎麦湯に含まれるミネラルについてでした。
蕎麦湯の栄養5.食物繊維
厚生労働省が2015年に発表した食物繊維の働きは、「コレステロールの増加を抑制」「糖尿病を予防」「血圧を正常に保つ」とのことでした。
また、蕎麦には老廃物の排出に効果をもたらす、と言われているヘルセルロースという種類の食物繊維も含まれています。
食物繊維が多いと、糖質の吸収を緩やかにして血糖値を上げにくくするとともに、脂肪を体内に溜め込まず、腹持ちが良くお腹が空かなくなり、整腸作用があり、便通も良くなる、言われています。
さらに、悪玉コレステロールが減り、高脂血症を予防するとも言われています。
蕎麦粉には食物繊維が5%もあり、白米の約2.5倍と言われています。
ただし、まだまだ蕎麦の食物繊維に関する研究は多くはないと言われています。
以上が、蕎麦湯に含まれる食物繊維の栄養についてでした。
その他、蕎麦にはナイアシンやコリンなどの栄養素も含まれています。
飲み方で気をつけること・副作用
蕎麦のつけ汁に蕎麦湯を入れて飲むと、塩分を多く吸収してしまいますので、なるべく蕎麦湯だけを飲むことをオススメします。
蕎麦はタンパク質が多く、アレルゲンとしてグロブリンも含まれていますので、蕎麦アレルギーの人はお召し上がりにならないでください。発疹や劇症的で死に至ることもありますので、蕎麦アレルギーの方は食べないでください。
また透析を受けている人もお召し上がりにならないでください。
蕎麦には、カリウムが含まれていますので、必ずかかりつけ医にご相談されてください。
まとめ
・蕎麦湯には栄養がある
・蕎麦湯の栄養は大きくわけて5つある
・蕎麦湯の栄養1.ルチン
・蕎麦湯の栄養2.タンパク質
・蕎麦湯の栄養3.ビタミン類
・蕎麦湯の栄養4.ミネラル・カリウム
・蕎麦湯の栄養5.食物繊維
以上、蕎麦湯の栄養について十割蕎麦屋が解説しました。
蕎麦湯の作り方を確認されたい方は、蕎麦湯の作り方ページをご確認ください。
ちなみに、当店のそば粉の栄養成分は以下となります。
・カロリー 343kcal
・タンパク質 12.0g
・脂質 3.1g
・炭水化物 66.7g
・食塩相当量 0.0g
蕎麦湯を作るために必要な蕎麦粉をお求めな方は、この機会に当店のオンラインショップで蕎麦粉をご確認とご検討をよろしくお願いいたします。